有頂天ホテル

 大晦日の出来事を描いた、ホテル内のシチュエーションコメディ。配役の妙に加えて、細々したネタがきちんと最後に収束するところなど、脚本の出来もいい。妻は伊東四朗の扱いに不満を覚えたようだけれど、あれ以上伊東四朗を動かすとアクが強くなりすぎて映画全体のバランスが悪くなるのではないか、と感じる。その点ではむしろ西田敏行の使い方の方がもったいないかなぁ。また、篠原涼子がこんなにいい女優さんになっているとは思わず、その点に驚いた。
 個人的には松たか子麻生久美子が二人で話すシーンの麻生久美子がいい。きっ、と場がしまる(それ以外のシーンはかわいいし上手いけれどそれだけ)。完全に松たか子が食われてしまっていた。
 唯一気になったのが音響。最新の音響で、前後左右にきちんと音がばらけるのだけれど、派手な動きを楽しむわけではないこういう作品には余計な効果。落ち着いて見られないだけ。